← ブログ一覧へ戻る

3Dプリンターと暮らす理由

3Dプリンターと暮らす理由

フランスには、日本のような「100円ショップ」がない。そして、身の回りのものは総じて何でも高い。
「もっと便利に、もっとおしゃれに暮らしたい」
そう考えたときふと思い浮かんだのが、「そうだ、3Dプリンターを買おう」というアイデアだった。

フランスでの暮らしを見ていると、日本でよく耳にするような「使い捨て」という感覚はあまりあてはまらない。人々は一つのものを驚くほど長く、大切に使い続ける。いいものを買って、手を入れながら共に暮らす。私もそんなふうにありたいと思うの同時に、現代の大量生産・大量消費社会に対するささやかなアンチテーゼにもなればという思いがあった。
もっとも、「プラスチックを使うことへの抵抗感」は、今でも完全に消えたわけではないのだけれど。

我が家に迎え入えたのは、初心者向けと言われるBambu Lab A1。
使い始めて驚いたのは、その圧倒的なクオリティだ。調整の手間も少なく、驚くほど美しく印刷してくれる。ただ、実際に運用してみて痛感したのは、印刷時の「徹底した換気」の重要性くらいだろうか。

モデリングのツールは、BlenderやTinkercad、さらにShapr3Dなど、用途に合わせてさまざまなものを試している。

初めてのプリント:海外生活の「困った」を解決するはずが……
記念すべき最初の制作物は、玄関ドア用のスマートロック(顔認証で解錠するシステム)のカスタムアタッチメントだ。

海外製品は日本とはドアノブやサムターンの形状が異なり、購入したもののそのままでは取り付けられず諦めかけていた。しかし、3Dプリンターのおかげでその悩みはあっという間に解決した。

と、スマートに言いたいところだが、実はこの写真のパーツ、記念すべき「初めてのプリントで生まれた失敗作」
出力段階でいろいろとほろ苦いミスがあり、見た目には「やっちゃった感」が残る仕上がりになってしまった。

最初は「作り直そうかな」とも思ったのだが、実際に取り付けてみると、これが驚くほどしっかり機能する。
完璧な見た目とはいえないけれど、目的は完璧に果たしてくれている。「まあ、使えるからいっか!」とそのまま装着し、今でも現役で我が家の扉を守り続けている。

この失敗を元にいまではモデリングの過程で意識するのは、美しくさ、実用性と(コスト)だ。
「エッジの面取りをどうするか」
「構造的な強度を保つにはどう設計すべきか」
「サポート材なしで美しく出力するにはどう配置するか」
最初はこんな失敗と試行錯誤にたっぷりと時間を費やしていた。しかし今では「やりすぎないこと」「生活を豊かにすること」「手元にあるものを効率よく活かすこと」を軸に、スマートな3Dモデリングを楽しんでいる。

既製品に頼るのではなく、自分の手(と、ちょっとした失敗データ)で暮らしをアップデートしていく。
フランスの穏やかな空気感の中で、3Dプリンターは私にとって、なくてはならない「暮らしの道具」になっている。

ご相談・お問い合わせ

記事の内容に関するご相談も、お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせ